Cloud LaTeX の登録の仕方・使い方

最終更新日:2018年12月12日


LaTeXとは

LaTeX(ラテック,レイテック,ラテフなど) は Leslie Lamport によって開発された文書処理システムです.

LaTeXの特長

LaTeX は綺麗な組版が特長の一つです.LaTeX は基本的に構造と内容を分離して記述されます.LaTeX は構造について既に記述されたクラスファイル( jsarticle.cls など)という呼ばれるファイルがあり,文書作成者は文書の内容のみを記述して綺麗な文書を組版することができます.

LaTeX は簡単に綺麗な数式を組版することができます.LaTeX の数式の記法は簡潔なため,MathJax や Markdown などあらゆるところでこの記法は使われています.

LaTeX は全てテキストで記述していくため,LaTeX のソースコード自体は非常に軽量で,大規模な文書もストレスフリーに作成することができます.テキストベースのため,バージョン管理も可能で,複数人による編集も可能です.

LaTeXの難しいところ

LaTeX は綺麗に組版することができますが,記法が間違っていたり,コマンドの位置関係を間違えると,コンパイルに失敗して,文書が出力されない場合があります.また,コンパイル(タイプセット)するまでは,文書がどのような見た目で出力されるかわかりません.そのため,コンパイル結果が当人にとって意図しない組版になる場合もあります.初心者の場合,コンパイルエラーや意図しない組版に対して,何が原因か分からず,どこを修正すればいいかわからないこともあります.そのため,現在は,こまめにコンパイル結果を確認できるように,texファイルを保存するだけで,自動的に LaTeX のコンパイルを走らせるスクリプトなども存在しています.

LaTeXのコンパイル環境を整えるにはそれなりに手間と知識が必要になります.WindowsとLinuxとMacでは環境構築の方法が異なります.また,現在は多数のLaTeX用パッケージがデフォルトでインストーラに組み込まれており,インストーラの容量が 7GB を超え,インストールにとても時間と容量が必要になります.現在では,環境構築の手間を省くために,オンライン上で LaTeX がコンパイルできるサービスも複数存在します.

LaTeX について詳しく知りたい方は TeX Wiki を御覧ください.

Cloud LaTeX

Cloud LaTeX は前節で説明した環境構築の手間を省くために株式会社アカリクのCloud LaTeX Team によって開発された LaTeX のオンラインコンパイルサービスです.

Cloud LaTeX のロゴ

Cloud LaTeX はオンライン上で LaTeX のコンパイルができる上,tex ファイル自体の編集もその場で行うことができます.

Cloud LaTeX の使い方

Cloud LaTeX の最小限の使い方

Cloud LaTeX は https://cloudlatex.io/ からアクセスできます.アクセスしたら右上にある「アカウント登録」から Cloud LaTeX のアカウントを登録します.

赤枠で囲まれた部分をクリックする
赤枠で囲まれた部分をクリックする

クリックすると,自分の情報を記入する部分があるので,記入して「利用規約とプライバシーポリシーに同意する」にチェックを入れて,青いボタンの「登録」をクリックします.

アカウント登録の画面
アカウント登録の画面

アカウント登録を済ませると,登録したメールアドレス宛にメールが送られます.

受信確認のメール文面
受信確認のメール文面

メール内の「メールアドレスの受信確認」ボタンを押すとアカウント登録の完了となります.トップページの「アカウント登録」のボタンが「マイページ」に変わっているので,そこをクリックします.

プロジェクト一覧画面
プロジェクト一覧画面

クリックするとプロジェクトの一覧画面が表示されます.「新規プロジェクト」ボタンをクリックすると,新しいプロジェクトを作成することができます.

プロジェクト作成画面
プロジェクト作成画面

プロジェクト名と説明を入力したら,「作成」ボタンを押します.新規にプロジェクトが作成され,プロジェクトの編集画面に移ります.

編集画面
編集画面

編集画面は大きく3つの「ファイル選択画面」,「テキスト編集画面」,「プレビュー画面」に分かれています.

編集画面
編集画面は大きく3つの画面に分かれる

基本的には「テキスト編集画面」で LaTeX の編集をして,右上のコンパイルボタンを押すと,コンパイルが走ります. コンパイルが終了すると右の「プレビュー画面」にコンパイル結果が表示されます.PDF ファイルとして保存したり,拡大してコンパイル結果を見たい場合は右上の PDF ボタンをクリックすると別ウインドウに PDF が表示されます.

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編集とコンパイルは基本的に赤枠の機能で完結する

ファイルの追加

ファイルの追加は編集画面の左にある「ファイル選択画面」から行います.プロジェクト名の左に+ボタンがあるのでそれをクリックすると,「新規ファイル」,「新規フォルダ」,「アップロード」があるので,新しいtexファイルを作る場合は「新規ファイル」,プロジェクト内に新しいフォルダを作りたい場合は「新規フォルダ」を選択します.どちらもクリックすると名前を入力する画面になるので,入力後,「作成」ボタンをクリックします.

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赤枠の項目は左上の+ボタンで出すことができる

「アップロード」ボタンはローカルにあるファイルを Cloud LaTeX の現在のプロジェクト内にアップロードします.文書内に図などを挿入する時に使います.「ファイルを追加」ボタンをクリックして,ファイルを選択します.複数アップロードしたい場合は繰り返し,「ファイルを追加」ボタンをクリックしてファイルを選択します.選択し終えたら,最後に「アップロード」ボタンを押します.正常ににアップロードが完了するとファイル名の左に緑のチェックマークが入るので,「完了」ボタンを押してアップロード終了です.

ファイルを追加して,コンパイルするファイル(プリアンブル部があるファイル)を変更したい場合ファイル名の右にある縦三点リーダのボタンをクリックして,「ターゲット設定」というボタンをクリックすると,コンパイルするファイルをそのファイルに変更することができます.

復元機能

Cloud LaTeX にはファイルのバージョン管理機能(復元機能)があります.この機能はファイルを過去の状態に戻すことができます.復元したいファイルを「ファイル選択画面」から選び,右にある縦三点リーダのボタンをクリックして,

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縦三点リーダは各ファイル名の右横に現れる

青文字で書かれた「復元」ボタンを押します.

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赤字の復元ボタンを押す

バージョンは「プレビュー画面」上にある「保存」ボタンで状態を保存した時に区切られます.それぞれのバージョンは日時で表現されるので,復元したいバージョンを日時の左にあるチェックボックスにチェックを入れて,「復元」ボタンを押すと,その状態を復元することができます.また,サイズ右にあるアイコンを押すと,過去のバージョンをローカルにダウンロードすることもできます.

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保存するたびに復元ポイントは追加される

また,ドラックアンドドロップを使ってファイルをアップロードすることができます.

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ファイルをドラッグして画面内に赤枠内にドロップするとアップロードができる

ドロップするとファイルを追加するウィンドウが表示されます.

プロジェクトの設定

「プレビュー画面」上にあるハンバーガーアイコンからプロジェクトの設定を変更することができます.

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右上の三本線がハンバーガーボタン

コンパイルのエンジンを platex から別のエンジンに変更することや,自動コンパイルをONからOFFにしたりすることができます.また,編集画面のエディタテーマも変更することができます.デフォルトは "cloudlatex default'' ですが,有名なカラースキームも多数用意されています.

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ハンバーガーボタンをクリックするとオプションが右端にオプションが表示

テンプレートの使い方

Cloud LaTeX にはいくつかのテンプレートプロジェクトが用意されています.テンプレートプロジェクトには学会などが用意している LaTeX のテンプレートや就職活動用の履歴書,入門用文書などが揃えられています.プロジェクト一覧の画面から「テンプレートから作成」というボタンをクリックします.

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編集画面を離れプロジェクト一覧画面に戻る

そうすると,テンプレートの一覧が表示されるので,選択して,「作成」ボタンを押すと,編集画面に移り,テンプレートから自分の文書を作成することができます.

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論文や履歴書のテンプレート一覧が表示される

LaTeX の記法

Cloud LaTeX を使って LaTeX の記法を紹介していきます.

最後に

Cloud LaTeX の主な機能は以上になります.Cloud LaTeX はアカウント制なので,出先のPCなどでログインして編集やコンパイルをして文書を入手することができます.また,環境構築が不要なので,煩わしい環境構築などに悩まされることはありません.是非,Cloud LaTeX を使ってみてください.